気づきにくいお口の機能の不十分な発達
近年の傾向として、お口の機能が十分に発達していないお子さまが増えています。お子さま自身も自覚症状がなく、ご両親でも認識していないことがほとんどです。お口の機能が低下しているサインの一つがポカンと開いたお口です。ポカンとあいたお口は、鼻呼吸から口呼吸へ移行するリスクがあります。口呼吸は、お口の健康だけでなく全身の健康にも影響するトラブルを引き起こします。
〒240-0013 神奈川県横浜市保土ヶ谷区帷子町1丁目1
口腔機能の管理
Oral Functional Management
歯科クリニックで行う健康づくりとして、歯科に関する病気の予防に加えて生活習慣病への対策があります。健康寿命の延伸には生活習慣病対策が欠かせません。むし歯や歯周病によって引き起こされる慢性的な炎症、菌血症、咬む機能の低下はメタボリックシンドロームの発端となり得ます。お口は栄養を摂取する場所であり、身体の中で最も慢性的な炎症が起きやすい場所です。むし歯や歯周病という身近な病気をきっかけに、その先にある生活習慣病の発症・重症化を予防することが、健康寿命の延伸へとつながります。
さらに、近年では食べる・話す・飲みこむと言ったお口の機能の管理の重要性が注目されています。お子さまのお口の機能の成長を適切に促し、生涯にわたり健康を保つためのサポートや高齢者のお口の機能の低下を防ぎ、自立した生活へのサポートが健康保険で受けられるようになりました。当院では、病気のみに対応するのではなく、お子さまから高齢者まで全てのライフステージに応じたお口の機能の育成・維持・向上を通じて、患者さまの健康な、自立した生活へのお手伝いをさせていただきます。
生涯にわたり、お口と全身の健康を保つためには、小児期からのアプローチが最も有効です。小児期にお口の機能を適切に獲得しておくことで、成人期はもちろんのこと、高齢期での加齢に伴う機能の低下のリスクは格段に下がります。生活習慣を獲得し、お口の機能が発達するこの時期に、健康を守る生活習慣の確立、食べる機能の健全な発達を促す環境づくりを行います。
近年の傾向として、お口の機能が十分に発達していないお子さまが増えています。お子さま自身も自覚症状がなく、ご両親でも認識していないことがほとんどです。お口の機能が低下しているサインの一つがポカンと開いたお口です。ポカンとあいたお口は、鼻呼吸から口呼吸へ移行するリスクがあります。口呼吸は、お口の健康だけでなく全身の健康にも影響するトラブルを引き起こします。
お口の機能の低下は歯並び・咬み合わせや骨格だけでなく、脳などの神経系や心理面にも影響を及ぼし、全身の健康との関連性もあると報告されています。そのため、早期の対応がとても重要です。
お子さまが下記の様な兆候がでましたら、ご相談下さい。
歯は、周囲の筋肉が調和している位置に配列され、歯並びを作ります。筋力のバランスが悪いと歯並び、咬み合わせは悪化し、顎や顔面の変形・歯を失うリスクが高くなります。
お口の機能を高めることで、環境的な原因による悪い歯並びや顎や顔面の変形のリスクを下げ、将来の咬み合わせの異常を予防することもできます。
まずは、現在のお子さまのお口の機能の状態を知りましょう。お口の機能の評価は、保険適用で行うことができます。
もし、機能が弱い場合には、お顔とお口の周りの筋肉の機能が健全に育つように働きかけるトレーニングが必要です。また、異常に強い場合もバランスをとる必要があります。このように舌やお口の周りの筋肉のバランスを改善していくことによって、将来、健康な体づくり、社会性の育成、学習能力の向上が期待できます。また、経験豊富な管理栄養士が、お子さまに合わせた食事・栄養アドバイスを行い成長発育の問題もサポートします。
お子さまが社会に適応して自分らしく生きる基本の道筋を、私たちと一緒に作りませんか?
皆さまは老後のイメージをしたことはありますか?ご自身やご家族がどのように過ごしたいか、過ごしてもらいたいか。重度の生活習慣病にかからず、寝たきりなどの介護状態にならずに、ずっと元気で、自分の好きなように生活ができる状態を望まれるのではないでしょうか。年齢を重ねたから食が細くなって当たり前、やせてきて当然と考えて、その状態を放っておいてはいけません。
筋肉量の減少により、体の機能が低下するサルコペニア、立つ・歩くなどの移動機能が低下するロコモティブシンドローム、身体の機能が低下し、心身ともに衰えて要介護の手前の状態であるフレイルが3大老化症状と呼ばれています。これら3つの症状が進行すると、自立度の低下を経て要介護状態に陥っていきます。
この身体の衰えよりも先に、お口の衰えが生じることが近年の研究で明らかになってきました。お口の機能の衰えがある人は健全な人よりも、フレイル・サルコペニア・要介護認定・ 総死亡のリスクが2~2.4倍も高いと報告されています。1)しかし、お口の機能の低下した状態は、適時・適切な対応で改善可能です
1)Tanaka T, Hirano H, Watanabe Y, Iijima K. et al. Oral Frailty as a Risk Factor for Physical Frailty and Mortality in Community-Dwelling Elderly. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2017
奥歯がなくなると、食べ物がうまく咬めず、野菜やお肉などを避けるようになり栄養摂取バランスが崩壊します。そして次の2つのプロセスを辿り、お口の機能が低下して、要介護状態に近づいていきます。
プロセス1糖質に偏った食事を好み、糖尿病などの生活習慣病のリスクが増加
柔らかい食材である炭水化物(糖質)を食べすぎる傾向があります。これは糖尿病・肥満・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病がの発症・悪化のリスクを高めることにつながります。
プロセス2タンパク質低栄養となり、筋肉量が減り、フレイルに近づく
咬む力を必要とする肉類の摂取が減ると、タンパク質低栄養が進行します。筋肉量の減少とともに、免疫力の低下につながり、様々な病気の重症化を引き起こします。
奥歯を入れて咬む機能を改善して、栄養摂取状態を改善しましょう。さらに、管理栄養士による食事のアドバイスを受けると効果的です。
お口の機能の低下は、自覚症状に乏しいため、放置されてしまいがちです。
そのままにしておくと、咬む・飲み込む機能に障害が生じて、全身的な健康を損なうリスクが高くなります。当院では、見逃しやすいお口の機能の低下を、簡便な検査で見える化することで、ご自身でも客観的に把握することができます。
病気が発症し進行した後に治療を行う医療よりも、発症する前の段階でリスクを発見して対策を講じる医療の方が、健康の損失は最小限で済み、健康な状態に早く戻れるのは明らかです。
定期的にお口の機能の状態を確認し、機能が落ちていかないようにケアしていきましょう。将来の低栄養を防止し、寝たきりや要介護状態に転がり落ちないようナビゲートしていきます。
予防歯科を成功に導くためには、歯科医師の診断能力・治療技術と歯科衛生士のメインテナンスに加えて管理栄養士が必要であると私たちは考えます。
英語のことわざに”You are what you eat”(あなたは、あなたが食べたものでできている)というものがあります。歯科治療を終えて、メインテナンスに通われても、お口にするもの・食習慣や生活習慣が悪いままでは、病気が再発するだけでなく、生活習慣病の発症・重症化に繋がってしまいます。お口の中の細菌が繁殖しにくい食べ物、心身の健康にとって必要な栄養が取れる食事など、皆さまの各ライフステージを考慮した食事・生活習慣のアドバイスを行っていきます。病気を治すのを目標にするのではなく、病気のリスクを未然に防ぎ、より良く生活ができるよう、私たちは歯科医療を通じて皆さまを支援していきます。